死別後を生きる

2015年春 夫と突然死に別れ…
ふたりの子どもとともに残された
わたしのココロ模様

わたしの中の黒②

わたしは結婚後間もなくして

人に強く勧められて車の免許をとった。

自動車を運転することに対し

(恐い)という思いも強かったので、

決して前向きではなかった。

それでもトントン拍子で仮免をパスし

一度も補講を受けることなく

卒検にまで至った。


ところが…

2度も検定に落ちてしまった。

一度目はひどく緊張したため。

二度目はうっかりミス。


すっかり自信を無くしたと共に

(落ちた)という事実が恥ずかしく


「もう、免許はいらない!」


と教習所に通うのをやめた。

その時主人は黙っていた。



しばらくして


「△△(わたしの名)ちゃん、

頼むから俺のために免許とって」


と言ってきた。

内心、わたしもこのままではいけないと

思っていたけれど、

わたしにも意地があり(笑)

行けないでいた。

主人はそんなわたしのちっぽけなプライドに

上手に揺さぶりをかけてきた。

わたしには

(主人のために仕方なく)という

教習所に戻る立派な理由ができた。

そうしてめでたく

わたしは車の免許を取得することができた。


後になって

主人にこの話をしたら


「だって金がもったいないやん」と。


全くもってその通りで、

わたしはまんまと主人の術中に

はまってしまっていたんだと

気づかされた。




前のページの下書きをしてから一週間。

その間に上のエピソードを思い出した。

そして今回もまた、

上手く主人に誘導されたんだな、と思う。


主人らしいやり方で

わたしが蓋をして押さえ込んでいた

怒りの感情を

外に解放してくれたんだと思う。


主人との死別は

ほんとうに突然の別れではあったけれど、

わたしはこの状況を

こころの奥深くで理解し、

受け入れようとしていた。


その思いはずっと変わらないでいたけれど、

一方で

わたしの中のエゴイスティックな側面が

『わたしを』傷つけた主人に

激しく憤っていた。

この一週間、わたしは主人を罵ったけれど、

もちろん何の返事もない。

だから

唯一わたしができる主人への仕返しとして


(わたしは)絶対に幸せにならない。


と本気で思っていた。

〇〇ちゃん(主人愛称)のせいで

わたしが苦しみ続ければ、

主人も決して幸せではいられないだろうから。