口には出せない思い
板切れにつかまって、大海にずーっと浮かんでいる。
このままどこへ行くのかさっぱりわからない。
眠っても眠っても
目覚めると相変わらずの風景が広がっている。
わかっていることは、
乗っていた船が大嵐に会い、木っ端微塵になったこと。
一緒に乗っていた夫は瞬く間に海の藻屑と消え、
二人の子どもはそれぞれ少しずつ少しずつ、
自力で陸地を目指している。
いいかげん、板切れに掴まっているのに疲れているはずなのに、自我が手放そうとしない。
あとどのくらい、わたしはこうして海に浮かんでいるのだろう。
海中深くで静かに静かに眠り続けたいのに。