死別後を生きる

2015年春 夫と突然死に別れ…
ふたりの子どもとともに残された
わたしのココロ模様

わかる・わからない

主人が亡くなって間もなくの頃。

80歳の女性との何気ない会話の最中、

わたしの事情は全く知らない彼女が

ふいに

「主人を亡くして30年。

娘のために頑張ってきたわ。」

と話された。

あまりのタイミングのよさに

驚くとともに、

(わたしだけじゃないんだ)と

癒されたことを覚えている。


このあいだ、その女性と立ち話になった。

きっかけは

他愛のない出来事だったが、

そこからふと

亡くなったご主人を思い出され、

「いいひとは、早く死んじゃうのよ。」と

少し淋しそうな笑顔でおっしゃった。

自分のことは話すつもりはなかったのに

思わず

「実は、わたしもなんです…!」と

打ち明けてしまった。


「お気持ちはよーくわかります。」


わたしの手をぎゅうっと握って

そう言ってくださった。


もうそれで、じゅうぶんだった。




つい先日。

社会人のスタートを共にきった

同期の友人と

10年以上ぶりの再会を果たした。

遠く離れた地に住む彼女は

昔と少しも変わらず、

懐かしい話に花が咲き

わたしもよく笑った。


彼女は今現在抱える自身の悩みも語り、

わたしのこの一年の話も

よくよく聴いてくれた。


「経験してないから…

△△ちゃん(わたし)の気持ちはわからないなぁ。

でも、△△ちゃんの話を聴いてたら

わたしの悩みなんてたいしたことがないような気がしてきたよ。」


彼女がわたしを慰め、励まそうと

会いにきてくれたことは明らかで、

わからなくても

なんとかわたしのこころに

寄り添おうとしてくれていることが

ほんとうにうれしかった。



いつの日か

もしも…もしも彼女が

今のわたしと同じ境遇に立つことになったならば

今度はわたしが駆けつけて

そっと告げようと思った。


「よーくわかるよ。」