悲別
我が家は長い間
単身赴任家庭だったので、
亡くなって8ヶ月たった今でも、
その感覚に陥ってしまうことがある。
これまでと変わらない日常。
…と意識した途端、
そうでないことを思い出す。
それから
魂の抜けた
冷たくなった主人の身体や
葬儀やあれやこれやの風景や
~記憶の引き出しを
片っ端から開けて
自分を現実に引き戻す。
出会ってから
長い交際期間を経て結婚し、
子どもが生まれ
家庭を築き
死に別れた。
わたしの人生で
最もこころあたたまる
経験の最後に訪れた
最高の悲しみ。
わたしにとって
もうこれ以上の悲しみはない。