死別後を生きる

2015年春 夫と突然死に別れ…
ふたりの子どもとともに残された
わたしのココロ模様

こぼれない涙

急に暑くなった。

タンスの引き出しの中のセーターを

見るだけで汗ばんできそうなくらい。

夏物と入れ替えることにした。



ところで。

我が家はみな、昔から写真を撮る習慣がない。

動画はなおさら。

だから、映像という形での記録物がほんとうに少ない。

けれども、主人が亡くなった後もそのことで悔やむことはなかった。

頭の中・こころに浮かぶ姿、耳の奥に残る声…

思い出はそれで十分だった。



タンスの引き出しには、主人の洋服や下着・靴下まで未だある。

良いものはひとつもない。

ただ、タバコの香りにまじった彼の匂いがはっきりと残っている。

唯一 五感を通して彼を感じることができる品々。

また春が廻ってきて、もうすぐまる7年となる。

残していった匂いと記憶を抱きしめながら、8年目も生きていく。