死別後を生きる

2015年春 夫と突然死に別れ…
ふたりの子どもとともに残された
わたしのココロ模様

結びなおし

主人がまだ生きていた頃。

一緒に街を歩いていた子どもが

あるお店の看板を見て

「あそこのお店、ちょっと気になる。」

とつぶやき、

ふたりで近づいて見てみた。


そこは

日本の伝統技術をアレンジして作る

アクセサリー

~主には婚約・結婚指輪を売るお店だった。


美術品を眺めるように

ショーケースの品々を見せていただき

「もう、わたしには必要のないものだけど、

いつか子どもにご縁があれば、その時は寄せて

もらいますね。」

とその場を立ち去った。



主人が亡くなって間もなくして

ふとあのお店を思い出した。

(そうだ!)と思い立ち、

わたし達の指輪のリフォームを依頼した。


主人の指の形に変形した指輪。

これはこれでいとおしく

なくしてしまうのに躊躇いもあったが

ふたりの指輪は並べて写真におさめ、

わたしは

主人とわたしの指輪を溶かして合わせ

ひとつの新しい指輪に作り替えてもらった。


手の大きなわたしの指には

さほどの違和感はないけれど、

女性用の結婚指輪にしては

幅広目の

存在感のあるものを選び

内側に

主人の亡くなった日付と

&でつないだふたりのイニシャルを

刻印してもらった。



左手くすり指にある指輪に

ときおり触れ、

会えなくなってしまったけれど

いまもなお

わたし達はつながっていることを確かめる。