壊れてゆくわたし
「俺と結婚してよかった?」
と聞かれたことがある。
わたしが死ぬ間際に答えると返事をした。
答えを聞かずに彼は先に逝ってしまった。
6年前の春、主人と死別した。
その間、子どもふたりの進学・就職を見守り励まし支えてきたが、問題を抱え、自立には未だ遠く…崖っぷちの小道から落っこちないかとハラハラこころは忙しない。
わたし自身も、自分と家族のためによかれと思って転職してみたが、身体は疲弊しこころは病み、結局働けなくなってしまった。
無職になってまるっと一年たつが、今後の目処も全くたたない。
手首を骨折し、円形脱毛症になり、睡眠中の食い縛りで一気に歯のトラブルに見舞われ、
昨日の朝は目覚めた途端、周囲の景色がぐるぐる回っていた。
不幸だとは思っていない。
ただ…
ただ、毎日が悲しい。
死別前の人生をプラス、後の今日までの人生をマイナスだとしたら、その絶対値は等しい。
だから
「俺と結婚してよかった?」
の質問に答えよう。
「トントンだな」
少なくともわたしにとっては、
死別とは修復不可能な破壊行為の体験だった。
自分が今、人生の山を下っているのがよくわかる。
傷だらけになって正に人生の「山場」を越えた今は、安堵と平安の中で癒されるため、一日も早く麓の平地にたどり着くことばかりを願っている。