表面上はなんの前触れもなく

その日はやってきた。

別れのことばを交わすこともなく

最期の瞬間を見届けられることもなく

主人は突如わたしの前から

姿を消した。

どうしてこんな別れ方を

しなければならなかったんだろう！？

どうして

どうして！

こころが激しく波打つ一方で、

静かにこれを受け容れている自分もいて。

突然いなくなったのに、

主人が逝った後は

きれいに整えられていた。

まるでこの日がわかっていたかのように

このあと誰も困らないように

いろんなことがきちんと用意されていた。

こういうことだったんだろう…

と思う。

世間のいう寿命に比べれば

ずいぶん早く果ててしまったけれど、

主人の死に関しては

宿命だったのだと

わたしの奥深い部分が納得している。

だから

そんな主人を選び

人生を共にしたわたしにとっても

これが運命だったのだろうと思う。

仕方のないこと。

泣きながら

痛みを堪えながら

わたしは与えられた人生を生きている。

ただね…

ただただ淋しい。