死別後を生きる

2015年春 夫と突然死に別れ…
ふたりの子どもとともに残された
わたしのココロ模様

最後の贈りもの

「〇〇ちゃん(夫愛称)は、わたしの歩く打出の小槌だよね。」

「もう何も出ぇへんで。出しすぎたわ。」


亡くなる2日前の、いつもの夫婦の会話。

出会ってから25年余りの間に

主人はわたしに物心両面、

ありとあらゆるものを与えてくれた。

わたしはほんとうに満たされていて、

こころの底から(幸せだなぁ)

って思ってた。


そしてあの日。

わたしのこころは打ちのめされた。

言葉では表せない

体験者でなければわかりようのない

深い深い悲しみと淋しさと絶望との

日々が始まった。


わたしは

できれば知りたくなかった『これ』を

知ってしまった。

知らずにいたかった。

でも…


『これ』は

わたしの内側を暗く深く静かに彩る

この上ない悲しい色。

わたしは

いつかどこかで誰かに

(その色知ってるよ)

って、寄り添える人になってしまった。

悲しいけれどまたひとつ

わたしは豊かになったのかもしれない。



『これ』が主人からの

最後の贈りものだったのでしょう。