トンネルの向こう
どういうわけだか急に
悲しみが薄れたような
ズキズキしていた
こころの痛みが、
鈍い痛みに変わったような
主人との日々が
ずーっと前のことのように思えたり
そもそも
主人という存在があったことが
ほんとうだったのかとさえ感じることもあって
妙にこころの中が静かだ。
まだ少し冷たい朝の空気の中、
職場に歩いて向かいながら
ふと感じた。
主人を纏っているよう。
夢にもほとんど現れないし、
気配も感じない。
もうすっかり
あちらのひとになって
わたし達のことは
遠くの遠くから
見てるだけの存在になったのね
と腹もたったりしていたけれど、
そうじゃあなくて
こんなに近くにいたなんて!
あまりにも近すぎて
これじゃ気づかない。
主人と一緒にいるというより
ひとつであるという感じ。
9回目の月命日を過ぎて
たどりついた今ここ。