死別後を生きる

2015年春 夫と突然死に別れ…
ふたりの子どもとともに残された
わたしのココロ模様

お手上げ

主人の死は主人の肉体を破壊し

その存在をこの世から消し去り、

わたしのこころをも破壊した。


あの衝撃の凄まじさ。

木端微塵に打ち砕かれ、

いとおしかった風景は、

二度と戻ってこないということを

今日まで生きてきて、

嫌というほど思い知らされた。



あの日から

一年八ヶ月がたとうとしている。



過去、わたしには身体をもつ夫がいた。

今は、意識だけとなった夫がいる。



わたしのこころの中も

あの頃とは違う。


かつては

暖かさに満ちていた家の壁に

蔦がからみ苔がむし、

庭は草ぼうぼう…

雨や風にうたれ続けた屋根は

崩れ落ちそうな

そんな廃墟と化した家に似ている。


昔の面影が少しずつ少しずつ消え、

今ある姿へと変化していっている。



主人がいたことが、

だんだんだんだん遠くなっていく。

昨日のことのように

思い出されていたあれやこれが、

記憶という箱にしまわれ

簡単に溢れ出なくなってきた。


…別に、こうなることを望んでいたわけじゃない。



わたしの勝手知らぬところで、

わたしを動かす何かがある。

どんなにそれに抗おうが

何一つコントロールできないのだと知る。