通りすぎていく
涙が止まった。
あの日以来
毎日毎日、泣いていたのに。
悲しみは
相変わらずここにあって、
寂しい気持ちは変わらない。
立ち直った…
という表現は適切じゃないかな。
喪失で負った傷穴の痛みと
絶望の意味を知った
新しい自分に
馴れてきたと言えばいいのだろうか。
生まれてから『今ここ』まで
わたしは留まることなく
刻一刻と変化し続け
あらゆる場面に遭遇しながら
さまざな人と関わり合い
思い、考え、感情を震わせ
行動したりしなかったり…
そうやって
ここまできた。
その途中で
主人と出会い
共に歩き
そして別れた。
その様を
動くことなく
じっと見続けているわたしがいる。
何者でもないわたしがいる。