偶然を装った必然の出会いが

あの時わたし達の間に起こった。

一瞬はやく

主人の魂が

わたしだと見分けたと思う。

それから四半世紀あまり

その時どきで

色を変え形を変えながら

主人とわたしは

わたし達の物語りを紡いできた。

夢見る少女ではないし

ドラマチックに

自分語りをするつもりもない。

でもまちがいなく

主人は運命の人だった。

わたし達がふたりで選択し

歩いてきた道の果てに

こんな別れ道があって、

ここからは別々に

歩いていかねばならないことは

悲しみの極みではあるけれど、

わたしは

ふたりで歩いてきた軌跡に

誇りを持っている。

だから

這いつくばり

のたうちまわりながら

いつか必ず会える

その瞬間(とき)まで

潔く

わたしらしく

主人がそうだったように

自分の人生を全うしようと思う。