絶望を経験する
わかってる。
身体はなくなってしまったけれど、
意識は今もなお
存在していることを。
見えないだけで
生きているということを。
元の形に戻っただけ。
わたしもいずれ
そうなることもわかってる。
だけど…
だけど
いまはまだ
こころと身体に『在る』わたしには
死別の衝撃は
そんな理解をも打ち砕くほど凄まじく、
ひたすら主人を恋しく思い
現世では叶うはずのない再会を願い
そのなにもかもが
絶望的である現実に涙しながら
それでも破壊されずに
生きながらえている苦しさばかりに
意識が向いて、
真実からどんどん遠ざかる。
両手を挙げて降参しても
地面に額をすりつけて懇願しても
まだわたしの人生は続くのだろう。
眠りのあと
きっとまた目覚める。